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【カヤック中の緊急地震速報】海上(カヤック、ボート)で大地震、津波から逃げるには

本日は、土砂降りの中、カヤックを浮かべていたのですが、海上で雨音も掻き消すけたたましいアラーム音。
スマホを見ると、「緊急地震速報」という文字。

正直、少し焦りました。

ただ、千葉南方沖とあったので、津波が来るとしてもかなり余裕はある状況。

本日は、雨で強く降るタイミングでは視界がやや悪く、岸近くで釣りをしていたので、すぐに岸へ向かいます。数分で近接する浜へ到着し、スマホで気象庁のwebを確認すると、「津波の心配はありません」の文字を見て、安堵。

今回は、「緊急地震速報」が誤報だったようですが、良い機会なので、カヤック及びカヤックフィッシング中に津波が来た場合の対応について考えておきたいと思います。

1.津波についての知識を持っておく

①津波のスピード

津波のスピードって、どの程度か理解していますか?津波は、水深に比例して、深いほど早く、浅いほど遅くなります。水深が5000mではなんと時速800kmとジェット機なみの速さで、水深100mで時速100km、水深10mで時速36kmと言われています。かなりの速さです。

よって、津波が見えた時点では、もう逃げるというようなことは全く不可能です。

②津波の到達時間を調べておく

自分が釣りをするエリアにおいて、津波の到達時間を調べておく。
南海トラフなど発生が予想されている主要な地震については、津波の到達時間が予測され、公表されている。

「〇〇県 津波到達時間」といったキーワードで検索しよう。各都道府県が作成した防災資料を見つけることが出来る。

ちなみに三重県だと下記のような資料が提供されている。

三重県|各種防災関連報告書:津波到達時間等一覧表(平成23年度版)
東北地方太平洋沖地震と同等規模の地震を想定した場合の津波到達時間一覧表

しかし、最初に記したように津波のスピードは想像以上に速い。私が釣りをするエリアである三重県の伊勢志摩地方においては、南海トラフ地震の津波到達時間は、数分であり、津波から逃げるのは非常に困難である。

③陸上の地形把握も重要

海上だけでなく、陸上の地形も重要だ。運よく陸上に素早く上がることができても、海岸平野のような海抜が低い地形が続く場合は、陸上で津波にのまれてしまう可能性が高い。
車に乗り込めたとしても、大地震なら、家屋の倒壊などで道路は使い物にならない。原則、徒歩での避難を考えた中で、津波到達エリアから脱出できるかどうかを把握しておく必要がある。
津波タワーなど高い建物の有無についても調べておく必要がある。

④先人達の経験から知る

下記リンク先は、津波ディジタルライブラリィというサイトの中の「釣り人が証言する日本海中部地震 大津波に襲われた 秋田県つり連合会編」という記事。

ショア、オフショアを問わず釣り人による津波の証言が43もあり、なかなか興味深い。

釣り人が証言する日本海中部地震大津波に襲われた秋田県つり連合会編 ‐ 【津波ディジタルライブラリィ】

 

また、国土交通省からも東日本大震災で津波に遭遇した船の行動事例集という資料が出ている。

https://www.mlit.go.jp/common/000212285.pdf

 

2.情報をいち早くキャッチする

①スマホは携帯する

大地震の際は、海上でも不思議な揺れを感じるとの経験談が多いが、震源地が遠い場合は、揺れ自体を感じないだろう。そこで、やはり頼れるのがスマホ。今回の緊急地震速報は空振りには終わったが、土砂降りの最中でも十分聞き取れた。

スマホをライフジャケット(PFD)のポケットやカヤックのハッチに入れている人もいるかもしれないが、カヤックでは津波だけなく、波浪や単にバランスを崩すことによる沈も十分あり得るので、流失してしまう恐れがある。

よって、私は、防水ケースに入れて常に首から下げている。今や防水ケースは、2つで1,000円もあれば買えてしまう。また、音量はMAX。顔認証、指紋認証、ロックは、カヤックを浮かべる時点で解除している。

②津波の到達時間、大きさを確認する

津波が数分後に到達する場合と数時間後に到達する場合では、全く行動が異なる。

数時間も余裕があるなら、岸へ戻って、避難することができる可能性が高いし、数分なら、はっきり言って、もうどうしようもなく、覚悟を決める必要がある。

まずは、気象庁のトップページへアクセスすれば、そこから情報を掴むことができるだろう。

3.究極の選択。沖へ出る「沖出し」か?岸へ逃げるか?

津波の際に、沖へ逃げるか岸へ逃げるかは常に議論になる。
「沖出し」と言われる行為は、漁師などが着岸している船を沖へ出して、津波から逃れる行為である。

カヤックの場合は、着岸していれば、わざわざ「沖出し」することはあり得ないため、ここで言う「沖出し」とは、今いる位置より更に沖へ逃げる行為となる。

沖出しによる安全な水深だが、津波の大きさにもよるのだが、50mというのが一般的。
また、津波注意報・津波警報は水深30メートル以上、大津波警報は同50メートル以上、高さ10メートル以上の大津波は同150メートル以上ということで検討している漁協もあるようだ。

津波は水深50m以上ではブレイクすることなく、大きなウネリのまま通過するとの研究もある。ちなみに東日本大震災水深では、第1波を約30メートルの地点で乗り切ったとの証言もある。

よって、水深が50m以上深いエリアで釣りをしている場合は、岸へ戻らず沖出しが妥当と考えられる。

ただし、これらは、動力を持った船舶に対する文献であり、そもそもスピードの出ないカヤックではもっと深い水深が必要とも言われている。

下記の記事は、津波の際の「沖出し」の成功例と失敗例が記載されており、興味深い。

是か非か 津波から船守る「沖出し」
津波から船を守るための沖出しの是非につい...

4.最終的な判断

これまで書いたように「津波到達時間」「岸までの距離及び水深50(30)mまでの距離」「陸上での高台への避難の可否」の3要素よって、総合的に判断する必要がある。

まず、原則としては、陸上に逃げる。沖への避難は、避難と言いつつ、漂流と同じで、津波の可能性がなくなるまで、着岸ができない。そして、漂流中には、飲料や食料も必要だし、体力を維持する必要もある。冬なら低体温症の恐れも強い。津波からは逃れられても、その他の原因で死亡することも十分あり得る。

よって、津波到達時間に比べ圧倒的に着岸時間が短いなら、岸を目指してとにかく漕ぐ。途中で干上がっても、走って逃げる。到達時間が長いなら、恐らく陸上の被害も小さいため、車を使って避難することも可能だと考えられる。

水深が50m以深で釣りをしていて、津波到達時間が数分と短いなら、着岸は自殺行為だろう。沖出し(着岸を目指さない)を選ぶしかない。

難しいのは、ありがちな到達時間が1時間で、着岸まで30分(平常時)、50m海域までも30分となると、判断が難しい。また、着岸してから高台への徒歩避難時間の長短によっても判断が異なってくる。

着岸しても数キロも走らないと高台がないとなると、もう沖を目指した方が良いかもしれない。

ただ、津波が発生するような状況では、猛烈な引き潮や異常な海流が発生する可能性が高い。エンジン船なら、そんな状況でもなんとか沖へ到達できるかもしれないが、カヤックの場合、そのような海況の中を人力で漕ぎきるのは非常に困難であることが予想される。

これは、何も沖出しだけでなく、岸へ戻る場合も同様だ。異常な海流の中、岸へ到達できるのか。過去の津波では強い引き潮により、海が干上がったとの発言もある。

どっちの選択も非常に厳しい。

私の場合、伊勢志摩の海でカヤック中に南海トラフが発生した場合は、はっきり言って、避難は不可能。数分で津波が到達するし、この海は、水深が浅い海域が続き、とても50mのエリアまで漕げない。

よって、津波にのまれることを前提に考えるしかない。岸寄りで激しい津波にのまれた場合、大量の瓦礫などもあり、生存するのは非常に厳しいように感じる。それなら、沖へ出る選択をした方がましのような気がする。津波にのまれたとしても、何とかライフジャケット(PFD)により浮いていられる。ただし、そこから救助されるか否かはもう運でしかない。

書いて恐ろしくなってきたが、どっちにしろ、カヤックで海に出るということは、津波に対しては、かなりリスキーな行為であり、もはやどうしようもない場面も考えられる。

ただ、そうだからと言って、何もすることがないと言うことはない。

ここまで書いてきたことを前提として、自分が漕ぎ出る海域において、津波予測の情報収集、最寄りの着岸ポイントの確認、陸上での避難経路の把握、艇の位置と津波到達時間による着岸か沖出しのシュミレーションなどをしておくことが重要だろう。

また、スマホは本当に生命線になるので、海へ出る前にはしっかり充電し、防水ケースに格納し、身に付ける。漂流を考慮して、最低限の水と食料はカヤックに用意しておく。レスキュー用にナイフやホイッスルを携帯しておく。なるべく低温に耐えられるウェアを着ておく。と言ったことも重要になろう。

より安全にカヤックフィッシングを楽しむためにも、津波について、一度は考えておきましょう。

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