ベイトタックルで磯ヒラスズキ(ロックショア)はやめておけ

こんにちは。

釣り場であった方に「磯ヒラスズキ(ロックショア)でのベイトタックルはどうですか?」と聞かれることがありますので、それについて書いてみたいと思います。

ヒラスズキ ベイトタックル

タックルの話は、どうしてもメーカー主導になり、デメリットよりメリットを強調して紹介されることが多いので、ここではユーザー目線でリアルな話をしたいと思います。

結論的には、磯ヒラスズキ(ロックショア)にベイトタックルを使用するメリットはない!ということになります。

磯ヒラスズキ(ロックショア)にベイトタックルを使うかどうか迷っている人は読まない方がいいです。(笑)

私は35年間ベイトタックルを使っている

まずは、自分のスペックから紹介しておきます。

長ければ良いということではないのですが、私は、小学生から35年もの間ベイトタックルを使っています。そもそも私が育った地域は、なぜかルアー釣り(バス釣り)でスピニングを使うという文化がなく、ノーシンカーも含めあらゆるルアーをベイトで投げていました。

ソルトを始めてからは当然スピニングがメインになりましたが、渓流釣りは全てベイトフィネスですし、ライトゲーム、シーバス、青物にも条件に応じてベイトタックルを使用してきました。

昨日今日、ベイトタックルを使いだした人間ではないということです。

ベイトタックルのメリット、デメリット

ベイトタックルのメリット、デメリットについての一般論について、私のコメントを追加したいと思います。

ベイトタックルのメリット

●アキュラシー性(キャストの精度)が高い
→ベイトとスピニングを同じ時間練習したら、やはりベイトの方がアキュラシー性は高いと思います。
ただし、極めれば、むしろ、スピニングの方が対応範囲が上。

全く違うジャンルの釣りで申し訳ないですが、参考までにイトウクラフトの下記の動画を見れば、本物のスピニングの上手い方のキャストが分かると思います。頭出している1:16付近の木々の中からの強い弾道でのアンダーキャストはベイトでは不可能に思います。

実際のところ、みなさんがよく勘違いしているのは、ベイトは難しいという点です。
はっきり言って、スピニングより簡単です。

簡単と言うと語弊がありますが、

・スピニングは、始めるのは簡単、極めるのは難しい
・ベイトは、始めるのは難しい、極めるのは簡単

という特性があります。

個人的にはスピニングを極めることが出来なくて、ベイトタックルに逃げている部分もあります。

●太いラインが扱いやすい
→その通り。ただし、PEラインがメインであるソルトでは太糸は使用しません。
ネット上には、ロングリーダーが使用できるとの記載もありますが、これはロッドとリールを選びます。
リールには、太いラインが通るレベルワインド、ロッドには、大口径ガイドが必要です。
一般的にガイドは小さいほど重量が下がり、感度や操作性も上がるため、大口径ガイドを搭載したロッドは、メリットもあるがデメリットも大きいです。

私は、Gクラフトのベイトロッドを使用していますが、メーカーもリーダーをガイド内へ入れないことを推奨しています。

●操作性がよい
→その通り。リール全体をパーミングしているので、細かな操作がやりやすい。また、重心が安定しているので巻きが安定し、クラッチを切るだけでラインの出し入れが出来るので、テンションの微妙なコントロールも可能。

●手返しが良い
→その通り。ただし、バスやトラウトの様に近距離アキュラシーキャストを繰り返す釣りには大きなメリットですが、磯ヒラスズキでは、そこまで手返しを要しない。

●巻く力が強い
→その通り。ただし、GTやマグロはスピニングでも問題なく上がる。

●感度が良い
→違う気がする。ベイトリールは、リール全体をパーミングするから、感度が良いという解説を見ますが、本当でしょうか?
上記のように巻く力が強いということは、逆に小さい力を感じにくいということです。

感度は基本的にラインを張っていないと感じません。例えば、ワームでボトムを叩くような釣りですと、ベイトならボトムの変化やアタリを取りやすいです。これは単にベイトではラインスラッグの調整が自由かつ繊細に出来るからです。

ただ、いわゆる巻き感度と言われるような、巻いていての流れのヨレなどの変化など微細な変化は、明らかにスピニングの方が分かる気がします

ただ、リールによる感度の話は、人によって大きく意見が分かれる不思議な問題です。
プロでもハイギア派かローギア派が大きく分かれます。
ハイギア派代表?の村田基氏とローギア派代表?の小沼正弥氏の動画を張っておきます。
(再生すると、重要部分から再生するようにしています。)

●重いルアーが投げられる
→スピニングはラインを指にひかけるというキャストスタイルなので、やはり重いルアーは扱いにくいと感じます。ただ、30g程度のルアーならスピニングで十分。上記と同じく、GTやマグロ釣りではスピニングで100g程度のルアーをキャスティングしています。

ベイトタックルのデメリット

●トラブルが多い
→慣れればむしろトラブルがない。ベイトは、ラインを直角方向に巻き取るので、そもそもラインにヨレがかからないんですよね。
スピニングは、ラインがぴょん吉君になったり、ローターにラインを巻き込んでしまったり、キャスト時にベール返ってしまったり、実は、色々とトラブルがあったりします。
ベイトのトラブルって、ほぼバックラッシュだけなんですよね。まぁこれが、大きな問題ではあるのですが。

●軽量ルアーが投げにくい
→これは、近年の技術革新のおいて、小スプール径なベイトフィネスリールが開発されてきたので、全く問題がありません。ただし、重いものも軽いものも快適に投げれれるリールがないのが大きな欠点。特にシーバスで、30gのシンペンも投げるけど、10g以下のミノーも必要というと、なかなか良いリールがないのが現状です。

●飛距離が出ない
→使用ルアーや条件によりスピニングにより飛距離が出ることもあるが、コンスタントにトラブルレスで飛距離を出すのは難しい。

下記シマノサイトでは、ベイトの方がスピニングより飛距離が出る検証を行っている。

https://fishing.shimano.co.jp/product/series/lure-x/column/henmi/02.html

●ドラグ機能がいまいち
→その通り。ベイトでの繊細なドラグ調整は無理です。全く無理です。
私も使用していますが、ジギング用のカルカッタコンクエストなど大型ベイトは、それなりのドラグ性能がまだありますが、キャスト型は駄目です。
そして、バス用の5kgのドラグだと、ラインをフルに巻くと、どれだけ締めても3kgほどでドラグ出てしまいます(磯ヒラは2kg程度のドラグで大丈夫ですが)。カタログ値はラインを巻いていない状態で、ラインを巻くとテコの原理で、ドラグ値が弱くなるので注意が必要です。ライン量によって大きくドラグ値がかわるため、シビアなドラグ設定など全く意味がありません

ただし、ベイトにはファイト中にクラッチを瞬時に切ったり、クラッチを切った状態でサミングでコントロールする「指ドラグ」なんていう技もあります。ただし、クラッチ切った状態で強い負荷をかけると、ピニオンギア周辺が故障しますので、注意が必要です。

●最大巻上長が小さい
磯ヒラをやっていると、波にルアーが飲み込まれたり、シモリを回避するために、非常に早い巻きが必要となる場面が多々あります。

最大巻上長は、磯ヒラで一般に使用するスピニングリールですと、シマノ4000番XG、5000番HGなら100cm前後です。

これに比べ、シーバス用ベイトリールですと、シマノのエクスセンスDCで91cm、ダイワのモアザンPETWも91cmとやや小さい。そして、キャスティング用ベイトリールは、糸巻量が小さいこともあり、フルキャストすると、かなりスプール径が細るため、実際の巻上長は、スペック以上にかなり短くなります。


現場で使用していると、スピニングならシモリをかわせたのに・・・と思うことがよくあります。

ならば、もっと大きなリールを使う選択もあります。シマノならスコーピオンMDとかダイワならタトゥーラ300(400)など、これらのリールの最大巻き上げ長は、110cm前後あります。

ただ、ベイトリールが難しいのはここです。スピニングリールは、はっきり言ってしまえば、大きさと価格で選べばいいですが、ベイトリールは、同じ大きさでもブレーキの特性やスプール径、スプール幅などでリールの性質が大きく変わってしまうのです。
上記リールは、最大巻上長は条件を満たすものの、スプール径が43mmと大き過ぎて、軽いルアーのキャストがほぼ不可能です。簡単に言えば、ビッグベイト用のリールなのです。

そんなことで、磯ヒラで使用する20g前後のミノーが快適にキャスト出来て、かつ最大巻上長100cm以上というベイトリールは、存在しないのが実際なのです。

まとめ

ベイトリールのメリット、デメリットを思いつくままに書いてきましたが、本来の大きなメリットである「太糸が使える」「操作性がよい」「手返しがよい」という部分がロックショア(磯ヒラスズキ)ではほとんど生かせないんですよね。

そして更に大き過ぎるデメリットが存在します。
これについて書いていきます。

ロックショア(磯ヒラスズキ)での大き過ぎるデメリット

ロックショアでの大き過ぎるデメリットは、ずばり「ワンミスが許されない!」ということ。

ミスというのは、具体的に言えばバックラッシュです。
たった1回のバックラッシュも許されないのが、ロックショアなんです。

もう少し分かりやすく説明します。

修復不可能な酷いバックラッシュ。
これは、当たり前ですが、釣りの続行ができません。ただ、こんなバックラッシュを起こしてしまうのは、論外です。

問題なのは、キャスト後に少しラインを引き出す程度のバックラッシュも厳しいという点です。

なぜなら、ロックショアはサーフや川ではありません。周りは、岩やシモリだらけです。しかも鋭利や貝類や海藻などがびっしりと付着しています。

シャローなゴロタ場などでシンペンなどシンキングルアーをキャストし、バックラッシュが発生すると、ラインを引き出ている一瞬で、ルアーが根掛りしてしまいます。

ルアーだけではありません。強い風や次から次へと押し寄せる波で、メインラインが流されて、シモリにひかかってしまいます。

更に、リールから引き出したラインでさえ、足元の鋭利な磯にからんでしまいます。

とうことで、磯でバックラッシュを発生させると、「水中のルアー」、「キャストして海上に漂うライン」、「リール」から引き出しているライン、この3つ全てがどこかにからんでしまう可能性が非常に高いのです。

なら、バックラッシュしなければいいじゃん?

正論です。例えば、晴天でドン深で飛距離もいらないような磯なら、ブレーキを強めれば十分可能です。

ただ、一般的に磯ヒラをやるような日は、風やウネリが強いような条件の悪い日が多い。
そして、私が行く磯は、シャローなポイントが多く、70m程度の飛距離が必要になるポイントが多いのです。

向かい風の中、25g程度のルアーを70mほどキャストしなくてはならない。そうなると、どうしてもブレーキは限界まで緩めなければいけません。その結果、バックラッシュが発生する確率が上がってしまいます。

根掛りのロストだけならまだましですが、ラインをシモリの貝殻などに掛けてしまうと、ラインを高切れしてしまうことにもなります。

以上から、磯ヒラスズキでのベイトタックルは、1回のバックラッシュも許されないという極めて厳しい釣りになります。(先程も書きましたが磯の条件にもよります)

それでもあたなは、ベイトタックルを使うのか?

以上、長文を書いてきましたが、磯ヒラスズキ(ロックショア)でのベイトタックル(ベイトリール)を使用するメリットは、はっきり言って何もありません。

ただ、ここが重要なのですが、釣りは遊びなんですよね。何も効率性や合理性を追い求めるものではない
ベイトタックルには、スピニングにはない人とタックルの一体感やキャストフィール、リールのメカとしての面白さ、そしてこれは個人的な趣向によりますが、ベイトならではのカッコよさがあります。
同じ1匹の魚を釣るにも、なにか達成感というか満足感が高い。
そう、言うなれば、魚1匹の価値を高めてくれる。
これがベイトリール最大の魅力ではないでしょうか。

そんなことで、初心者が安易に磯ベイトタックルを使用することは全くおススメしませんが、より魚に価値を感じたい方や新しい世界を見てみたい方は、磯ベイトタックルに挑戦してみるのもありだと思います。

コメント

  1. 通りすがり より:

    自分のエリアは50m以上遠投することがないので、逆にベイト有利です。
    使っている人はほぼいないですが

    スピニングと比較してタックルの総重量が軽いので、
    操作性がいいのも利点です。。

    • JUN より:

      本文中にも書いていますが、やはり磯の条件次第。
      先日、飛距離がいらないポイントだけ行ったのでベイトでやってましたが、やりやすいのは確かですよね。

      タックル重量は、リールを300番以上にするかどうかですね。

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