クセが強い人が作った、クセが弱いロッド
はい。いきなりですが、ツーリミット103マルチ(TWO LIMIT 103 Multi) のキャッチフレーズを作りました。
「クセが強い人が作った、クセが弱いロッド」
そんなことで、この記事は、ジャンプライズのツーリミット103マルチのファーストインプレです。
ちなみに、このロッドでは83cmのランカーヒラスズキを筆頭に10本ほどのヒラスズキ(50cm前後の小型青物も10本ほど)をキャッチしたところです。
公式スペックは、下記のとおりです。(→公式ページ)
【SPEC】ツーリミット 103 マルチ | |
全 長 | 10.3ft(312㎝) |
重 量 | 185g |
ルアーウエイト | 8〜40g(※ペンデュラムキャストの場合はMAXで50gまでOK) |
適合PE | 1〜1.5号 |
適合リーダー | 20〜35ポンド |
ガイド | SiC-S リング |
仕舞寸法 | 159.5㎝ |
価 格 | 39,000円(税込42,900円) |
ジャンプライズというメーカーの井上友樹という人
このロッドを語るには、ジャンプライズというメーカー、そしてこのメーカーの代表である井上友樹氏を語らなくてはならない。
ジャンプライズというメーカーのルアーは、代表である井上氏が一人で設計から金型データ作製までを行っている(ロッドはOEMで共同開発ではあるが、井上氏の強い意向が反映されているのは想像に難くない)。井上氏はヒラスズキの世界記録を保持するアングラーであり、その独自の理論やスタイルは非凡な才能を感じさせる。特にその身体能力と自社ロッドを使ったパワーファイトは一見の価値がある。また釣りだけでなく、陸上や歌などなかなか多彩な才能を持った人物である。
その一方、そういった才能や実績があるがためか、自己主張が強く、表現をやや誇大に感じる人がいるのも事実。また、過去にはスタッフが虚偽の釣果を発信するという不正行為もあった(こんなのはあちこちで行われていると思います。知らんけど。)。
よって、ある種カリスマ的な人気があるのですが、逆にアンチな方も結構いるようです。
私自身は、ファンでもアンチでもないですが、どちらの気持ちも分かります。はい。笑
そんなことで、このロッドのメーカ及び代表の井上氏は、ややクセが強い人物であります。
なぜツーリミットを購入したのか?
折れにくいロッド
自分は、釣り歴は40年以上あるが、ヒラスズキを狙い始めたのは今年に入ってから。
最初は、青物用のやや硬めのロッドを流用して使用していたのですが、このロッドはなぜか異常にバレることが多かった。
そして、次は、高弾性で有名なGクラフトのベイトロッドを購入。
使用感には満足していたのですが、高弾性だけあって、抜き上げ時などに、破損しないか常に不安がありました。
そこで、一番重視したのは、強度。
強度と言っても硬さでなく、折れにくさ。
磯ヒラの釣りは、荒れたコンディションでの釣りが多く、どうしても無理する場面が出てくる。また、ランディングも抜き上げることが多くなる。そういった時に安心してやりとり出来るロッド。
ヒラスズキ用としてメジャーなロッドは、ジャンプライズ以外でもバリスティック・ヒラ(ヤマガブランクス)、 エクスセンス ジェノス(シマノ)、セブンセンス モス(Gクラフト)、ブラックアローアンリミテッド(エイムス)などがあり、どれも強度があるのは間違いない。
ただ、メーカーとしてそれを分かりやすく見せてないんですよね。
その点においては、ジャンプライズは秀逸です。
下記動画を見て下さい。(全て頭出ししてあります)
ロッドを立てて4kgの重量を吊りながら歩く!
500gのペットボトルがキャスト!
ティップだけを持ってロッドを振り回す!
8kgブリを103マルチで瞬殺!
これらの動画見てると、ロッドの本質を語ることとは少し離れていますが、このロッドが折れにくいのはよく分かります。
また、この地方は、青物と言ってもヒラマサが釣れることはなくブリのワラササイズまでがほとんどなので、ロッド強度的にも103マルチが丁度良いように思いました。
しなやかさ
最初にも書きましたが、最初に青物用ロッドでヒラスズキを狙った時は、やたらにショートバイトやバレが多く感じました。
もちろん、食わせのタイミングでラインテンションがかかり過ぎているなどアングラー側の問題も大きいが、それにしても、キャッチ率が5割くらいでした。
そこでロッド変えてみたら、やはり随分とキャッチ率が上がり、ヒラスズキ用ロッドは、固いだけでなく、ある程度入るティップと複雑な波の中でヒラスズキの動きに追従するベリーからバットが必要と感じました。
そんな中、ジャンプライズのロッドは、中弾性カーボンを使用しており、非常によく曲がるロッドになっています。
複雑な波の中で魚を掛けても、曲がることにより一定以上のテンションを掛け続けることができます。これが、高弾性なロッドですと、反発が強過ぎて、かえってテンションが抜けてしまうことがあるんですよね。
ただ、その反面、魚の向きを強引に変えたい場合など、ロッドを立てこんでも思った以上に魚にテンションを掛けれないことは考えられます。そうすると、井上氏のようなショートポンピングで常にラインを巻き取っていくようなファイトスタイルが必要になると思います。
ちなみにメーカー側は、「バネ感が強い」という言葉でこのロッドを説明していますが、実際に曲げこむとグッと反発してくる「バネ感」を確かに感じることは出来ます。これはただのロッドの反発とは少し違う感覚で、上手く言えませんが、ブランクスがむっちりしているというか、そういう感じはあります。
意外と安い
ジャンプライズのヒラスズキ用ロッドには、オールウェイクというシリーズとその廉価版であるツーリミットというシリーズがあります。
ブランクスは同じですが、グリップとガイド(トルザイトかSIC)が異なるだけです。
ブランクスが同じということは、ある意味、このツーリミットのインプレは、オールウェイクのインプレでもあります。
同じマルチというロッドのそれぞれの定価は下記。
オールウェイク 105 マルチ59,000円(税込64,900円)
ツーリミット103マルチ39,000円(税込42,900円)
なんと、価格は2万円程度も違います。
ロッドの性能のほとんどはブランクスにありますので、何よりコスパ重視な私にはツーリミットの方が圧倒的に魅力的です。
最新の販売価格は各ショッピングサイトでチェックしていただくとして、paypay祭りなどポイント還元の大きいタイミングなら、結構お得に買えてしまいます。
中弾性ロッドは、高弾性ロッドに比べて、安価に製造できるのもメリットの1つです。
ロッド購入時の懸念
ロッドを購入する前に私が懸念した点ですが、やはりこのロッドの最大の特徴である中弾性であることからのデメリット。
ダルイ!
これに尽きます。
ダルさというのは、なかなかスペック的(数値的)に分かりませんし、非常に感覚的なものなので、実際に使ってみないと分かりません。
ロッド自重は、10.3ftで185gとスペック的には軽いのですが、ロッドは数字上の重さよりも実際に持った時のバランスが非常に重要です。
実際持った感じ、キャストした感じ、1日振り続けた感じ、このあたりがどうなのかは非常に気になりました。
また、中弾性ロッドは感度が悪いと言われますが、ヒラスズキはデイゲームで視覚的な情報が多い釣りですので、それほど感度は必要ないかなというのが個人的な思いでした。
ロッドを実際に使ってみてのインプレ
クセが弱いロッド
お待たせいたしました。ここから、実際に使ってみてのインプレです。
冒頭に「クセが強い人が作った、クセが弱いロッド」と書きました。
「クセが弱い」という表現はややマイナスな印象を受けるかもしれませんが、全く逆です。
非常に素直で使いやすいロッドです。
キャストフィールは?
まずは、持った感じですが、思ったよりシャキッとしています。そりゃ、バリバリ高弾性ロッドのような明らかにカチンとしたフィーリングではないですが、ダルいという印象は特に受けません。
そして、キャストしてみます。
まぁ、何だか、優しいです。
クセが全くなく、マイルドなフィーリングです。
高弾性なロッドは、しっかりと曲げてタイミングをあわせないと、上手く飛ばないことが多いですが、このロッドは、本当に楽に投げられます。
それでいて、腰を入れてしっかり曲げこんでキャストすれば、気持ちよく遠投できます。
ルアーの適合範囲も広いです。
スペックとしては、使用プラグは8~40g設定です。
私は、マイクロベイト食ってるイナダを狙う時は、バス用のサミー65(6g)とかも投げてますが、それなりに投げられてますね。
上は、40gのシンペンならがっつりフルキャスト可能。ちなみに、公式ホームページには、ペンデュラムキャストであれば50gまでOKと明記してあります。
飛距離は?
キャストフィールはいいですが、絶対的な飛距離ではやはり高弾性ロッドに負けます。
私が比較でキャストしたのはシマノのルミナスS100MHですが、30gのシンペンをフルキャストしてみると、ツーリミットでは届かなかったシモリまで投げることが出来ました。およそですが、高弾性ロッドの方が5m~10mくらいは飛距離が出ていると思います。
ただ、高弾性ロッドは、しっかりとルアー重量をロッドに乗せてリリースタイミングがバッチリ合えば飛距離が出ますが、リリースタイミングがズレたりすると、飛距離が一気に悪くなる特性もあります。
一発の飛距離よりも中距離をアベレージに攻めるには、中弾性のツーリミットの方が快適ではあります。
ルアーの操作性は?
ヒラスズキは基本的に巻きの釣りで、ルアーを積極的に動かすことは少ないのですが、小型青物狙いの際にペンシルを連続ドッグウォークさせたりは普通にできます。上記にも書いた6gのペンシルでも問題なくアクションは入れられます。ただし、それほど軽快ではないです。
もちろん、10ft以上あるロッドですので、どのロッドでもバスロッドのようにはいかないですけどね。
ミノーを連続ジャークするような釣りには向かないかもしれませんが、通常の巻きの釣りやトップを動かす釣りなら、全く問題ありません。
ロッドの感度は?
感度については、中弾性ロッドが高弾性ロッドに劣るのは当然なんですが、ヒラスズキや青物を狙ううえでそれほど感度はいりません。
まぁ感度ってあればよいものでもないんですよね。巻物で感度が強すぎるロッドは、ノイズが強すぎて、釣り辛いなんてこともあります。バス釣りでもクランクなんかは、グラスロッドを使ったりしますよね。
ルアーをサラシに入れた時の流れを感じる程度の感度は必要十分ですし、50m先のシンペンの着底なども分かります。
ただ、ナイトゲームのシーバスで、少しの流れの変化を探すような釣りには向いていないかもしれません。
魚を掛けてからは?
実は、このロッドの鱗付けは、下記の記事のいきなりなランカーヒラスズキだったんですよね。
(私の長い釣り歴では、鱗付けとか入魂とか言われる儀式は、ほぼ外道なんすけど)
この魚を掛けた時は、最初60cmちょいかなと思ってやりとりしていたんですが、見えたら、思ってもないサイズでかなりビビったわけです。
最近も74cmを上げたのですが、これも60cmかなという感じでした。
高弾性ロッドだと、魚の引きがダイレクトに手元にくるわけですが、このロッドは、中弾性で粘りがあるため、魚の引きをロッド自体がかなり優しく受け止めてくれます。
そして、83cmも74cmも4番フックで、ほぼドラグロックでしたが、全く伸びることがありませんでした。
そんなことで、ロッドがマイルドなため、やりとりもかなり楽な竿です。アラフィフのおっさんに非常に優しいです。はい。
適合するリールのサイズは?
リールサイズですが、井上氏のタックルを見ていると、基本的にシマノのツインパワーSW4000番(350g)を使用しており、ロッドのバランスもこれに合わせているようです。
私も最初は、古いバイオマスターSW4000番(310g)を使用していて、最近は、かなり軽いノーマルツインパワーC5000番(260g)を使用していますが、リールを軽くして特に持ち重りがする感じはないですね。
逆にロッド自重自体が185gと軽量ですので、リールも軽くして、タックル全体の重量を下げた恩恵の方が大きいようにも感じます。
ツーリミット103マルチのインプレまとめ
何だか思っていた以上に長い記事になってしまいましたが、このロッドの特性は、やはり本当にクセがなく、非常に使いやすいというところかと思います。
メーカー側から受ける何か特殊なスペックのロッドとは正反対なんですよね。
「マルチ」というモデル名が表わすとおり、適用範囲が広くどんなルアーもどんな釣りもやりやすいロッド。
初めてロックショアをやる方にも使いやすいと思いますし、高弾性ロッドが好きな方でも、一度使ってみると、中弾性もいいなぁと感じさせるロッドだと思います。
(それでも高弾性命みたいな人にはやっぱりムリかもね)
コメント